著者
小次郎講師
投資教育家・チャート分析家
所属:手塚宏二事務所
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公開日
2026.10.09
9/28週の結論:
今週は、弱い米雇用関連指標がきっかけとなって、金利・株式・為替のすべてで流れが変わった週でした。
週前半まで米長期金利はおよそ四半世紀ぶりの高水準(5%超え)まで駆け上がり、原油高を背景にしたインフレ懸念が相場の重荷となっていました。
ところが週末に発表された米雇用統計が市場予想を大きく下回ったことで、早期の追加利上げ観測が後退。長期金利はいったん伸び悩み、株式市場にはむしろ安心感が広がりました。
原油価格も、主要国による協調的な備蓄放出の決定が重なって上値を切り下げています。
日本株は週を通じて底堅さを維持し、週間ベースでは3週連続の上昇となりました。
為替市場では、弱い雇用統計を受けて一時円が買われる場面もありましたが、金利が下げ渋ったことで上げ幅は限定的でした。
日経平均株価は週間ベースで3週連続の上昇となり、これまで上値を抑えてきた価格帯をしっかりと上回って終えています。半導体関連株が相場をけん引する構図が続く一方、金利高が重荷となりやすい内需セクターにも、自社株買いの発表を材料とした物色が散見されました。週末は、ここまでの急ピッチな上昇に対する達成感による売りがやや優勢となり、上値の重さも意識されています。業種別の騰落を見渡すと、資源・素材関連には底堅さが残る一方、金融関連には戻り売りが出やすく、金利動向への感応度の違いが鮮明になっています。
ナスダック総合指数は3営業日続伸し、取引時間中には直近の最高値を上回る場面もありましたが、終値ではわずかに届きませんでした。弱い雇用関連指標を受けて金融引き締めへの警戒が和らいだことが、株式市場全体への追い風となっています。景気敏感株にも買いが波及し、幅広い銘柄に物色が向かう展開となりました。
ドル円は雇用統計の発表直後に円買いが優勢となる場面がありましたが、米10年債利回りが心理的な節目である5%を上回る水準を維持したことで上げ幅は限定的となり、前営業日に比べてやや円高の水準で週を終えています。米10年債利回りは週前半に1バレル100ドル突破の原油高も重なって24年ぶりの高水準まで上昇しましたが、週末は5.3%台を割り込む場面もみられました。エネルギー価格と金利の連動関係が、依然として相場の重要な変数になっています。
週末に発表された雇用統計の数値は、労働市場の勢いが和らいでいることを示す内容となりました。
これまで『金利はどこまで上がるか』という一方向の警戒に傾きがちだった市場参加者の見方に、『景気を見ながら判断する』という視点があらためて加わった格好です。
労働市場の減速が緩やかなものにとどまるのか、それとも加速するのかが、次の金融政策判断を左右する最大の論点になりつつあります。
中東情勢の緊迫化を背景に一本調子で上昇してきた原油価格に、主要国による協調的な備蓄放出という政策的な対応が加わりました。
地政学リスクそのものが解消したわけではありませんが、供給面での安心材料が加わったことで、原油高がそのままインフレと金利の上昇に直結するという構図には、一定の歯止めがかかりつつあります。
市場価格形成において、地政学と政策対応のどちらが優勢になるかという綱引きは、来週以降も続くとみられます。
海外発の金利・インフレを巡る綱引きとは別に、日本株は自律的な上昇基調を強めています。
抵抗となりそうな価格帯を相次いで上回り、テクニカル面では明確な上昇トレンドへの転換が意識される形に。
国内の物価動向を受けた日銀の政策運営への思惑も根強く残っており、海外要因と国内要因が重なり合う複雑な地合いが続いています。特に現在は、台湾・韓国の影響を受けての上昇と考えることもできそうです。
『利上げ警戒』から『景気と金利のバランス探り』へと、市場の視線が少しずつ移り始めています。
原油やエネルギー価格の落ち着きがどこまで続くかが、この視線の転換が一時的なものか、持続的なものかを左右しそうです。日本株の独自の強さが、海外発の波乱に対する耐性としてどこまで機能するかも、引き続き注目されるところです。
日経平均株価の推移(9月~、日足)は以下の通りです。
出所:TradingView
日経平均株価は週後半から一気に駆け上がり、上昇トレンドへの転換が意識される形になっています。
週末の達成感から来る利益確定売りが一時的な調整にとどまるか、それとも上値を試す勢いが続くかが、来週の焦点です。
わずか2週間ほどで大きく値を切り上げたあとだけに、週末の利益確定売りは値動きとしては自然な範囲にとどまっており、今のところトレンドそのものを壊すような崩れ方ではありません。
WTI原油と米10年債利回りの推移(日足)は以下の通りです。
出所:TradingView
米長期金利は24年ぶりの高水準まで上昇したあと、高止まりしています。
原油価格の上値が重くなったことと連動した動きであり、エネルギー市況が今後の金利動向を占ううえでの先行指標になっている点がうかがえます。
両者がそろって頭打ちの形を続けるようであれば、株式市場にとっては金利上昇という重荷が和らぐ分、追い風に転じる可能性があります。
来週は、雇用統計を受けた金利観測の落ち着きがどこまで続くかが最大の焦点です。
原油価格の下げがエネルギー面でのインフレ懸念を和らげる方向に働けば、金利と株式の両面で追い風となりますが、中東情勢が再び緊迫化すれば、この流れは簡単に逆回転しかねません。
日本株については、自律的な上昇トレンドを維持できるか、それとも海外発の金利変動に振り回されるかを、丁寧に見極める必要があります。
| 日程 | イベント・経済指標 |
|---|---|
| 10月5日(月) 23:00 | 米9月ISM非製造業景況指数発表(日本時間) |
| 10月9日(金) 3:00 | 米FOMC議事要旨公表(日本時間) |
| 10月9日(金) 23:00 | 米10月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)発表(日本時間) |
| 通期 | 国内外で決算発表が本格化。日本株の上昇トレンドの持続力、金利・原油動向に引き続き注目 |
一本調子に見えた金利上昇・原油高の流れが、雇用統計という一つの指標をきっかけに変わりました。相場のテーマが固定されているように見えるときほど、それを覆す材料が出たときの振れ幅は大きくなりがちです。『今の相場観はいつまで続くのか』を問い直す姿勢を持ちながら、日本株の自律的な強さと、海外発の金利・エネルギー動向の両方を、バランスよく確認していきたい局面です。
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小次郎講師(本名:手塚宏二) 投資教育家・チャート分析家。 40年以上にわたりマーケットと向き合い、投資セミナー、書籍、動画、コラムなどを通じて、 個人投資家に向けた投資教育を行っている。 難解に思われがちなチャート分析を、初心者にもわかりやすく体系立てて伝えることを得意とし、 これまでに数万人を超える受講生を指導。 代表的な手法に「移動平均線大循環分析」「大循環MACD」「大循環ストキャス」などがある。
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