原油100ドル突破と長期金利の上昇圧力 日本株は2週連続の大幅安に

原油100ドル突破と長期金利の上昇圧力 日本株は2週連続の大幅安に

株式・投信

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公開日

2026.09.18

  • ※本コラムは手塚宏二事務所が執筆し、当社が情報提供するものです。

9/7週の結論:
今週の相場を動かした最大の要因は、金融政策そのものよりもエネルギー価格でした。

中東情勢の混迷が長期化するなか、原油価格は9/3(木)時点で心理的な節目である1バレル100ドルを突破し、一時104ドル台まで上昇。エネルギーコストの上昇が根強いインフレ圧力として意識され、米長期金利は節目の5%に迫る水準まで駆け上がり、米国株は4営業日続落となりました。

ところが、金曜日には風向きが変わります。

湾岸諸国とイランが外相会合を開く見通しと伝わったことで中東情勢の緊張緩和期待が広がり、原油価格は反落。夜に発表された米消費者物価指数はインフレ加速を示す内容でしたが、それでも株式市場は買いが優勢となり、米国株は5営業日ぶりに反発して週を終えています。

一方、東京市場では週を通じて重い値動きが続き、日本株は2週連続の大幅安となりました。

一目でわかる!市場サマリー

【日本株】

週を通じて値がさの半導体関連株の重荷が目立ち、指数の下落幅を押し広げる形となりました。一方で、保険や海運といった業種には資金の逃避先として買いが入る場面もあり、指数全体の弱さとは対照的な値動きも見られています。半導体を中心とするAI関連株は、海外市場に比べて戻りの鈍さが目立っており、これが指数全体の重しになっている構図です。個別銘柄の物色動向を見る限り、投資家は『どのセクターがインフレ耐性を持つか』という物差しで銘柄を選び直しているように見受けられます。

【米国株】

週前半は原油高と長期金利の上昇を嫌気し、米国市場は4営業日続落となりました。しかし、金曜日は一転して主要指数がそろって反発し、5営業日ぶりの上昇で週を終えています。夜に発表された米消費者物価指数はインフレの根強さを示す内容でしたが、中東情勢の緊張緩和観測から原油価格が反落したことが好感され、株式市場には追い風となりました。前日に急落していた一部のAI関連銘柄は、この日のうちに値を戻す場面もありました。

【為替・金利】

ドル円は9月11日のNY市場で153円台で取引を終え、前営業日の終値154円台から1円ほど円高が進みました。日中は米卸売物価指数を受けた利上げ観測の高まりから一時154円台半ばまで円安が進む場面もありましたが、夜の米消費者物価指数の発表後は振れが大きくなり、株安を嫌気したリスク回避の円買いも重なって153円前半まで下落。米10年債利回りは節目の5%に迫る水準まで上昇しており、日本の長期金利にも連れ高圧力が及んでいます。エネルギー価格の上昇が金利上昇の主因となっている点は、これまでの『金融政策主導』の金利上昇局面とは性質が異なります。

マーケットアナライズ:原油100ドル突破とインフレ再燃リスクが焦点

主因①:中東情勢の混迷が原油価格を押し上げ

中東情勢の混迷が長期化するなか、原油価格は心理的な節目である1バレル100ドルを突破しました。

エネルギーコストの上昇はインフレ圧力に直結するため、金融市場ではこれまで以上に神経質な反応が広がっています。

この原油高が一時的な地政学リスクの反映にとどまるのか、それとも構造的な供給不安の始まりなのかによって、今後の金融政策運営への影響度合いも変わってきます。原油関連以外の商品市況にも波及が広がるようであれば、警戒レベルを一段引き上げる必要が出てきそうです。

主因②:中東情勢を巡る外交的な進展の兆し

混迷が続いていた中東情勢に、外交面での進展を示すとみられる報道が伝わりました。湾岸諸国とイランが外相会合を開く見通しであり、ホルムズ海峡の航行管理を巡る枠組みへの支持を取り付ける狙いがあるとされています。

これを受けて原油価格には反落する場面もみられ、エネルギー発のインフレ懸念が一服するかどうかの分岐点として注目されます。

もっとも、情勢が本当に落ち着きに向かうかは不透明であり、楽観は禁物です。

主因③:来週の中央銀行イベントを前に、身構える市場

来週は日米の金融政策決定会合が相次いで予定されており、市場ではその結果を見極めたいとの思惑から、持ち高を積極的に傾けにくい状況が続いています。

原油高を背景にしたインフレ圧力の高まりが、両国の中央銀行の判断にどう影響するかが、目下最大の焦点です。

市場のセンチメント

エネルギー価格が金利・株式を振り回す一週間となりましたが、金曜日には中東情勢の緊張緩和期待から潮目が変わり、株式市場は買いで週を締めくくりました。

もっとも外交面での進展が本物かどうかはまだ見極めが必要で、来週の中央銀行イベントの結果次第では、あらためて相場の方向性が大きく揺れる可能性があります。

金利上昇局面でのグロース株の脆さも、あらためて意識しておきたいところです。

チャートで紐解く現在の相場ステージ

日経平均株価の推移(週次終値、直近3週間)は以下の通りです。

日経平均株価の推移(週次終値、直近3週間)

出所:TradingView

  • ※チャートはJapan 225 インデックス の値動きを示しており、必ずしも日経平均株価と一致するものではございません。

日経平均株価は2週連続で大幅安となっており、戻りの鈍さが目立ちます。海外のAI・半導体株に比べて出遅れ感が強く、指数全体の重しとなっている構図です。

下値では過去の安値圏が意識されており、そこを維持できるかが目先の焦点です。

WTI原油と米10年債利回りの推移は以下の通りです。

WTI原油と米10年債利回りの推移

出所:TradingView

原油価格の心理的節目である100ドル突破と、米長期金利の5%接近が同時に進んでいる点が今回の特徴です。

両者ともさらに上値を試すのか、それとも中東情勢の落ち着きとともに反落するのかが、株式市場の先行きを左右する鍵になりそうです。

今後の見通しと「投資のヒント」

来週は日米の金融政策決定会合の結果と、そこでの原油高・インフレへの言及内容が、当面最大の判断材料になります。

米長期金利が心理的節目の5%を明確に上抜けるかどうかも、株式市場の重石になるかどうかを見極めるうえで欠かせない視点です。

原油価格の動向次第では、金融政策の判断そのものが変わる可能性もあり、エネルギー市場から目が離せない展開が続きそうです。

日本株については、海外のAI・半導体株との出遅れ幅が今後縮まるのか、それとも構造的な要因で広がったままとなるのかも、あわせて注視したいポイントです。

日程 イベント・経済指標
9月17日(木) 03:00(日本時間) FOMC結果発表
9月17日(木) 03:30(日本時間) ウォーシュFRB議長 記者会見
9月18日(金)昼前後 日銀金融政策決定会合結果発表・植田総裁記者会見(時刻は公表され次第確定)
通期 国内外で決算発表が継続。原油価格・中東情勢、金利動向に引き続き注目

小次郎講師のワンポイントアドバイス

原油高と金利上昇という組み合わせは、これまでのAI相場の物語とは異なる文脈で株式市場を揺さぶっています。金融政策の発言だけでなく、エネルギー市場や地政学リスクといった、これまで注目度が低かった変数にも目を配る必要が出てきました。9/4(金)のように、悪材料が出ても外交面の進展一つで潮目が変わることもあるため、来週の中央銀行イベントを控え、材料が出そろうまでは無理にポジションを傾けず、金利と原油の動き自体を確認しながら判断する姿勢が、今は最も理にかなっていると考えられます。

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本レポートは情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品の売買や投資勧誘を目的としたものではありません。本レポートに掲載した情報は、手塚宏二事務所が信頼できると判断した情報源に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではなく、将来の市場動向やパフォーマンスを示唆・保証するものでもありません。①~③の市場データは2026年7月24日時点で確定しているものであり、それ以降の値動き、および7月28日以降のFOMC・日銀金融政策決定会合の結果は本レポートに反映されていません。
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著者

小次郎講師

投資教育家・チャート分析家
所属:手塚宏二事務所

小次郎講師(本名:手塚宏二) 投資教育家・チャート分析家。 40年以上にわたりマーケットと向き合い、投資セミナー、書籍、動画、コラムなどを通じて、 個人投資家に向けた投資教育を行っている。 難解に思われがちなチャート分析を、初心者にもわかりやすく体系立てて伝えることを得意とし、 これまでに数万人を超える受講生を指導。 代表的な手法に「移動平均線大循環分析」「大循環MACD」「大循環ストキャス」などがある。

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