著者
小次郎講師
投資教育家・チャート分析家
所属:手塚宏二事務所
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公開日
2026.09.04
8/24週の結論:
8月28日(金)は、株式・為替とも材料の多い1日となりました。前日の米国市場ではNVIDIAの決算をきっかけに主要株価指数がそろって上昇し、この流れを引き継いだ東京市場でもAI・半導体関連株を中心に朝方から買いが先行しました。
もっとも、この日の夜に控えていた米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」を前に買い一巡後は伸び悩み、上昇幅を縮小して取引を終えています。
そして講演本番では、ウォーシュFRB議長が就任後初の基調講演に立ち、インフレ抑制に向けてなお作業が残っているとの認識を示しました。
これを受けてドル円は上昇し、日米が協調して為替介入に踏み切って以来、初めて心理的節目の160円台に乗せています。
値動きを主導したのは値がさの半導体製造装置株で、指数の上げ幅の大半をこれらの銘柄がけん引しました。一方で内需系や資源関連には手掛かり材料に乏しく、上昇の裾野は限定的でした。前引けにかけていったん上げ幅を広げたものの、後場は次第に伸び悩み、高値からは値を消す展開に。過去の戻り高値が上値のフタとして意識されている様子がうかがえます。値がさ株銘柄の動向次第で指数全体の動きが大きく変わりやすい地合いが続いており、TOPIXなど他の指数と見比べながら実態を確認する必要がありそうです。
ハイテク株比率の高いナスダック総合の上昇率が、NYダウを上回りました。半導体株指数(SOX)を含むグロース株全般に買いが広がった一方、金利上昇に敏感なディフェンシブセクターの一部には利益確定売りも出ており、指数構成銘柄の間で明暗が分かれています。中小型株指数の動きも相対的に鈍く、資金が大型グロース株に集中する傾向がこの日もあらためて確認された形です。
ドル円が節目の160円に達したことで、オプション市場では上値をにらんだポジション調整の動きも観測されています。介入からわずか1カ月足らずでの水準到達に、当局が再び行動に出るかどうかを見極めたいとの声も市場では聞かれます。ユーロやポンドなど他の主要通貨に対してもドル高が広がっており、円だけが弱いのではなく、ドル全体が買われやすい地合いになっている点も見逃せません。
ウォーシュ氏は講演で、月次の経済指標そのものよりも、実体経済のリアルタイムな動きを重視する考えを示しました。あわせて、先行きの政策運営について事前に方向性を示すフォワードガイダンスには距離を置く姿勢も表明しています。
従来の『次の会合で利下げ/利上げが濃厚』といった単純な織り込みが効きにくくなっており、指標発表のたびに相場が振れやすくなる可能性があります。
市場関係者の間では、こうした発言スタイルの変化そのものが、当面の値動きを不安定にする要因になるとの見方も出ています。
介入直後の時点では、投機筋の円売りポジションは大きく縮小していたことが確認されています。
それにもかかわらず円安が進んだ背景には、原油高を受けた輸入企業の実需的なドル買いが下支えとなっているとの指摘があります。
投機的な行き過ぎの巻き戻しとは異なり、実需に根差した円安圧力は当局の介入だけでは抑えにくいという点は、押さえておきたいところです。
エネルギー価格の動向次第では、実需筋によるドル買い圧力がさらに強まる可能性もあり、為替と原油市場をあわせて見ておく必要がありそうです。
これまでの相場は、個別企業の決算内容が株価を左右する場面が目立ちました。しかし今回は、決算という材料が一巡したあと、金融当局者の発言の方が相場全体への影響力を持つ結果となりました。
AI関連株の評価が、業績そのものよりも金利環境に左右されやすい段階に入りつつあることを示唆する動きといえそうです。
仮にこの傾向が続くのであれば、好決算を発表した銘柄であっても、金利が上昇する局面では素直に買われにくくなる可能性がある点には注意が必要です。
個別企業の業績よりも中央銀行の発言が相場を動かす一日となり、投資家の関心はミクロからマクロへとシフトしています。
当局の政策対応が効きにくい実需主導の円安が続くのか、それとも近く反転するのか。次の一手を見極めようという緊張感が、週明け以降の市場には漂いそうです。
株式・為替のいずれにおいても、材料に対する市場の反応の仕方そのものが変化しつつあることを踏まえた、柔軟な見方が求められています。
日経平均株価の推移(7月安値〜直近、終値ベース)は以下の通りです。
出所:TradingView
日経平均株価は8月半ばの高値からいったん調整しましたが、直近は底堅さを取り戻しつつあります。
過去の戻り高値が上値の抵抗として意識されやすく、ここを明確に上抜けられるかが、戻りの持続力を判断するうえでのポイントです。
ドル円相場の推移(介入前後〜直近)は以下の通りです。
出所:TradingView
介入後に戻った反動で、約半値戻しになった格好です。
ほかのクロス円通貨ペアでは、介入前の水準に戻っているものが多く、現在はドルも円も売られているので、ドル円チャートは動きが膠着しつつあります。
節目の水準160円を明確に超えて定着するのか、それとも上値の重さが意識されて反落するのかが、当面の焦点です。
今週は日銀サイドの要人発言も予定されており、金融政策を巡る当局者の発信が相次ぎます。
ウォーシュ議長のようにデータ重視でフォワードガイダンスに距離を置くスタンスが広がれば、事前の織り込みが効きにくくなり、指標発表のたびに株式・為替が大きく動く場面が増えるかもしれません。目先の水準を上抜けるか下抜けるか、値動きそのものを確認しながら次の判断をする姿勢が引き続き有効でしょう。
特に為替は実需・投機の両方の要因が絡み合っており、単純な金利差だけでは説明しきれない値動きになっている点も、あわせて意識しておきたいところです。
| 日程 | イベント・経済指標 |
|---|---|
| 週内 | 日銀・FRB双方の要人発言が相次ぐ見通し。ジャクソンホール会議後の市場の消化状況に注目 |
| 通期 | 国内外で決算発表が継続。金利動向、為替(160円を巡る攻防)、原油価格の動向に注目 |
データ次第で当局のスタンスが揺れやすくなっている今の局面では、『次の会合はこうなるはずだ』という事前の思い込みが外れやすくなります。経済指標や要人発言が出るたびに、まず値動きそのものを確認し、その反応が一時的なものか、トレンドの転換を示すものかを見極めてから動く。この一手間を惜しまないことが、振れ幅の大きい今の相場では特に重要です。焦って結論を急ぐより、一晩、あるいは数日かけて市場の反応を確かめる余裕を持つことが、結果的には損失を避ける近道になることも多いものです。
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小次郎講師(本名:手塚宏二) 投資教育家・チャート分析家。 40年以上にわたりマーケットと向き合い、投資セミナー、書籍、動画、コラムなどを通じて、 個人投資家に向けた投資教育を行っている。 難解に思われがちなチャート分析を、初心者にもわかりやすく体系立てて伝えることを得意とし、 これまでに数万人を超える受講生を指導。 代表的な手法に「移動平均線大循環分析」「大循環MACD」「大循環ストキャス」などがある。
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