AI・半導体株の乱高下。慌てないために知っておきたいこと

AI・半導体株の乱高下。慌てないために知っておきたいこと

株式・投信

  • URLをコピーしました

公開日

2026.09.14

日経平均株価は6月に史上最高値をつけた後、AI・半導体関連株を中心に大きく調整する場面がありました。その後、いくらか値を戻す動きもありましたが、最高値の水準には至っておらず、好材料と悪材料が入れ替わるたびに大きく株価が振れる展開が続いています。

こうした動きを受けて、「また急落したらどうしよう」と不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

今回は、7月末のGAFAM※の決算内容を手がかりに、この下落の背景と長期保有を考える際の視点を整理します。

  • ※GAFAMとは、Google・Amazon・Facebook(現Meta)・Apple・Microsoftの頭文字を合わせた名称です。

なぜAI・半導体株は下がったのか

6月の最高値から一転、7月にかけてAI・半導体株を中心に下げる展開が続きました。背景には「AI投資の持続性」への懸念があります。

要因の一つとして、韓国サムスン電子が発表した第2四半期の業績見通し(ガイダンス)をきっかけに、米メモリー大手マイクロン・テクノロジーをはじめとする半導体関連株にも売りが波及した場面がありました。

ただし、ここで重要なのは、AI需要そのものが急激に落ち込んだわけではないという点です。

むしろ、AI関連銘柄はこれまで市場を牽引する存在として大きく買われてきました。その結果、「今後も高成長が続く」という期待は、すでに株価に十分織り込まれていたと考えられます。こうした局面では、決算が悪くなくても市場の期待にわずかでも届かなければ売りが出やすくなります。

つまり今回の下落は、
「AIブームの終わり」ではなく、「期待が先行し過ぎたことによる調整」と捉えるのが現時点では自然です。

そこで注目したいのが、AI投資を牽引しているGAFAM各社の動きです。
もしAI需要が本当に失速しているのであれば、GAFAM各社は設備投資計画を縮小するはずです。逆に、投資が引き続き拡大しているのであれば、AI関連市場の成長シナリオは依然として有効と考えられます。

では実際に、GAFAM各社はどれくらいAIに投資しているのでしょうか。次に、その投資規模と中身を確認してみましょう。

GAFAMのAI投資は本当に鈍化しているのか

Googleを傘下に持つAlphabet、Amazon、Meta、Microsoftの4社は、2026年に合計最大7,250億ドルの設備投資を計画しているとされています。2025年の約4,100億ドルからさらに大幅な増額です。この規模を日本企業と比較すると、その大きさがよく分かります。

例えば、トヨタ自動車の年間設備投資は約146億ドル(2.3兆円、1ドル=157円)です。一方、GAFAM4社はAI関連投資だけで、その10倍以上を投じる計算になります。

各社の投資先は大きく分けて次の2つです。

  • 自社データセンターやAI向けインフラへの投資
  • OpenAIやAnthropicなどAI企業への出資
2026年設備投資の見直し
  • ※Olive コンサルティング作成
  • ※1AI以外の投資も含まれます(衛星通信Leoなど)
  • ※22019年以降の複数回にわたる累計額

Google、Amazon、Microsoftはいずれも、この両方を積極的に進めています。こうした投資姿勢に変化がないかどうかが、今後の相場を読む上での重要な手がかりになります。

バブル崩壊なのか、一時的な調整なのか。だからこそ長期的な視点を

今回の下落について、市場の見方は分かれています。
慎重な見方としては、

  • AI投資に見合う収益が本当に得られるのか
  • 金利上昇局面で株価が振れやすい状態が続くのではないか

といった点を懸念しています。

こうした懸念を象徴する動きは、すでに表れています。Alphabetが7月22日に発表した2026年4〜6月期決算では、純利益が大幅に増加した一方で、本業で生み出した現金から設備投資などを差し引いた「フリーキャッシュフロー(自由に使える手元資金)」が赤字に転落しました。

この結果を受けて、Alphabetの株価は決算発表後に7%下落し、日本の関連企業株にも売りが広がって大幅安となりました。市場では、こうした巨額のAI投資が本当に見合うリターンを生み出せるのか、改めて厳しく見極めようとする姿勢が強まっています。

一方で

  • データセンター需要そのものが失われたわけではない
  • 相場の天井ではなく、急拡大の反動によるサイクル半ばの調整

との見方も根強くあります。

現時点では、どちらか一方が正解と言い切れる状況ではありません。だからこそ重要なのは、目先の株価ではなく、
「AIというテーマ(構造)そのものが伸び続けるのか」という長期的な視点です。

波及先として連想される日本株3選

相場が大きく下落すると、どうしても株価の動きに目が向きがちです。しかし、投資判断で本当に重要なのは、

  • GAFAMの設備投資は継続しているか
  • データセンター需要は伸びているか
  • 日本企業の業績にその恩恵が表れているか

という構造的な変化です。

今回ご紹介する日本のAI関連銘柄3選はいずれも、AI投資拡大の恩恵を受けながら成長してきた企業です。

8035 / 半導体製造装置 東京エレクトロン

東京エレクトロンの株価チャート

半導体製造装置で国内首位。
AI・データセンター需要の拡大と関連性の高い企業です。

期間:2025年9月1日~2026年8月31日
出所:QUICKのデータをもとにOliveコンサルティング作成

6981 / 電子部品 村田製作所

村田製作所の株価チャート

MLCC(積層セラミックコンデンサ)の世界大手。
AI・データセンター需要拡大を追い風に過去最高売上を更新しました。

期間:2025年9月1日~2026年8月31日
出所:QUICKのデータをもとにOliveコンサルティング作成

1969 / 電力・冷却インフラ 高砂熱学工業

高砂熱学工業の株価チャート

空調設備大手。
データセンター向け空調・冷却事業を展開し、4期連続で最高益を更新しました。

期間:2025年9月1日~2026年8月31日
出所:QUICKのデータをもとにOliveコンサルティング作成

長期投資家が見るべきポイント

足元の決算でも関連事業が業績を押し上げており、現時点で投資テーマそのものが崩れているわけではありません。

今回であれば、GAFAMの設備投資計画が今後も継続するか、データセンター向けの需要が実際の企業業績に表れ続けているか、といった点が判断材料になります。

株価が大きく動いた直後は、こうした構造の変化と、単なる短期的な需給の振れを見分けにくくなるため、一呼吸置いて情報を整理する姿勢が必要です。

GAFAM各社の決算においては、設備投資額計画に変化がないか、そしてそれを支えるフリーキャッシュフローの状況がどう推移しているかなどが確認ポイントです。

最後に

保有しているAI・半導体関連株について、「このまま持ち続けるべきか」、「一部利益確定した方がいいのか」を一人で判断するのは簡単ではありません。

当社では、市場動向の解説に加え、お客さま一人ひとりの資産状況やリスク許容度に合わせたアドバイスを行っております。運用方針についてお悩みの際は、オンラインにて無料でご相談いただける「コンサルティングサービス」をご用意しています。

また、三井住友銀行アプリ内の「資産管理タブ」では、現状把握や課題の整理、運用の検討などをサポートする「デジタル資産運用サービス」もご利用いただけます。

ご自身に合った資産管理を考えるきっかけとして、ぜひご活用ください。

  • ※本文に掲載のグラフは過去の実績であり、将来の運用成果を保証・示唆するものではありません。

著者

中山 星甫

アドバイザー

証券アナリスト・FP最上位資格を活かし、ポートフォリオ分析とリスク管理を起点にお客さまの長期運用をアシストします。

著者

峯村 真衣

アドバイザー

株式・債券・投資信託をはじめとする多様な商品をご提案してきた経験を活かし、お客さまの目的やリスク許容度に応じた最適な資産形成をサポートいたします。

著者

菅原

アドバイザー

富裕層向けコンサルティング経験を活かし、投資信託や債券を組み合わせながら、お客さまのご意向に沿った資産運用をサポートいたします。

ご留意事項

  • 株式取引にあたっては、所定の手数料がかかります(手数料はお客さまの取引コース、取引チャネル、取引プランや売買代金等により異なることから記載しておりません)。
    株式取引は、株価の変動等により損失が生じるおそれがあります。
    詳しくは、SBI 証券 WEB サイトの当該商品等のページ、金融商品取引法等に係る表示または上場有価証券等書面等をご確認ください。
    【金融商品取引法等に係る表示】
    https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/pop6040_torihikihou.html

人気記事

    注目タグ

      ご注意事項

      本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなさるようお願いします。本資料は、信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、正確性、完全性を保証するものではありません。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社及び情報提供者は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製又は販売等を行うことは固く禁じます。

      重要な開示事項(利益相反関係等)について

      投資情報の免責事項

      また、本資料はアドバイザー個人の知見や見解が含まれています。なお、資料中の意見や考察は執筆者個人の見解であり、当社の公式見解を示すものではありません。