「金利のある世界」を生き抜く“マッスル資産運用”! 日経・露口一郎氏が語る「家計と投資」のシフトチェンジ

「金利のある世界」を生き抜く“マッスル資産運用”! 日経・露口一郎氏が語る「家計と投資」のシフトチェンジ

資産運用

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公開日

2026.07.17

  • 本記事にはセミナーのご案内が含まれています。

日本経済は長らく続いたマイナス金利政策から転換点を迎え、いよいよ「金利のある世界」へと足を踏み入れました。2026年6月後半には日経平均株価が史上最高値を更新するなど国内株式市場が活況を呈する一方で、物価高や円安進行など、私たちを取り巻く金融環境はかつてないほどのスピードで変化し続けています。

スマートフォンなどのデジタルデバイスを巧みに使いこなし、投資信託などを活用して順調に資産形成を進めてきたビジネスパーソンにとっても、これまでの成功体験がそのまま通用するとは限らないフェーズに入ってきました。

そこで今回は、7月23日に開催するオンラインセミナーに先立ち、日本経済新聞社の「マネーのまなび面」編集長を務める露口一郎氏に、「金利のある世界」の資産運用を聞きました。「家計もカラダも筋肉質に」をモットーに日々筋トレを欠かさない露口氏に、新たな環境で求められる資産運用の考え方、家計の防衛術、そして忙しいビジネスパーソンに最適な「究極の筋トレ法」まで語っていただきました。
(取材、編集:QUICK Money World)

「家計も体も筋肉質に」をモットーとする日本経済新聞社・露口一郎氏

「株式100%」の成功体験が変わる?

――これまで順調に資産を増やしてきた個人投資家の方々は、現在の「金利のある世界」という環境変化をどのように捉えるべきでしょうか。

露口一郎氏(以下、露口氏):まず大きな前提として、これまで私たちがどっぷりと浸かっていた「ほぼゼロ金利」という環境から、大きくルールが変わりつつあるということを認識する必要があります。

これまでのゼロ金利下では、銀行にお金を預けていてもなかなか増えませんでしたから、資産運用の最適解は株式や投資信託への投資一辺倒になりがちでした。特に若い世代は、スマートフォンの証券アプリを通じて「全世界株式(オルカン)」や「S&P500」に連動するインデックスファンドに資金を集中させ、リスク資産を中心に据えて順調に資産を築き上げてきた方が多いと思います。

しかし、金利が上がってくる世界では、状況が少し変わります。「債券」や「預金」が、投資の選択肢として復活してくるのです。

――具体的には、どのような商品が選択肢に入ってくるのでしょうか。

露口氏:わかりやすい例で言えば、日本の国債ですね。例えば「個人向け国債・変動10年」といった商品は、金利上昇局面において非常に強い商品設計になっています。すでに適用利率は年1.7%台ですし、半年ごとに適用金利が見直されるため、世の中の金利が上がれば、受け取れる利息も増えていきます。また、より長期の運用を前提とするなら、利回りが3.9%台と魅力的な水準に上がってきている30年国債※なども、選択肢の裾野に入ってくるかもしれません。

もちろん、株式投資をやめるべきだと言っているわけではありません。ただ、これまでは「株式100%」だったポートフォリオに、債券という安定的なパーツを組み込む余地が生まれてきたということです。

  • 個人投資家は「個人向け国債」以外の一般の国債も購入できる。個人向け国債は額面1万円から1万円単位で購入できるのに対して、一般の国債は額面5万円から5万円単位での購入となる。30年国債など一般の国債は取り扱う金融機関も限られる。

――金利の上昇は、これまで主役だった株式市場にどのような影響を与えるとお考えですか。

露口氏:一般的に、金利の上昇は株式市場にとってマイナス要因として働きます。特に、将来の高い成長を期待して買われている「グロース株」や、株価収益率(PER)が高い銘柄にとっては逆風となりやすいです。金利が上がれば、企業がお金を借りる際のコストが増加しますし、投資家から見ても「安全な債券で利回りが得られるなら、わざわざ高いリスクを取って株を買わなくてもいい」という心理が働くためです。

現状、日本は米国ほど金利が高くなっているわけではないので、すぐに株式市場が崩壊するといった極端な影響はないかもしれません。しかし、物価高やインフレへの対応として利上げが進めば、短期的には株価が下落する局面も十分に想定されます。

だからこそ、これからの株式投資は「半身の姿勢」で臨むことが大切です。前のめりになりすぎず、いつでもリスクをコントロールできる心構えを持っておく。そして、株だけに資金を集中させるのではなく、債券やコモディティ(商品)など、他の資産にもお金を回していく視点が必要になります。

インフレ時代に強い「値上げができる企業」

――「半身の姿勢」で株式投資を続けるとして、これからの環境下ではどのような銘柄やセクターが有望だとお考えですか。

露口氏:これまでは市場全体の株価が上がる相場でしたが、これからは企業間の「選別」がよりシビアに行われるようになるでしょう。金利上昇局面で真っ先に注目されるのは、やはり「金融株」です。金利が上がることで銀行などの貸出利ざやが改善し、収益の向上が期待できるからです。

また、インフレが進行する中では「値上げができる企業」が強いです。原材料費などのコスト高を、きちんと製品やサービスの価格に転嫁できる企業ですね。それはつまり、他社には真似できない強力な「ブランド力」を持っていたり、特定の市場で圧倒的な「シェア」を握っていたり、あるいは「独自の技術力」を持っている企業ということになります。価格決定権を持っている企業を見極めることが、今後の株式投資のリターンを左右する重要な鍵になります。

――株式や債券以外の投資先、例えばコモディティについてはいかがでしょうか。

露口氏:コモディティも、資産分散の有力なパーツとして注目すべきです。代表的なものとして「ゴールド(金)」がありますが、これはインフレに対する強力なヘッジ(防衛策)として機能し、実際に1月までは大きく価格が上がりました。足元では米金利上昇やドル高を受けて軟調ですが、資産の一定割合を金で保有しておくことは、ポートフォリオの安定剤として有効です。

また、「原油」などのエネルギー資源も無視できません。中東情勢などの地政学的な不透明感があるため価格変動の予測は難しいですが、農地の開拓や燃料コストなど、経済全体に広範囲に影響を与える重要な要素です。金や原油に限らず、コモディティ全般への分散投資は、金利とインフレが混在する複雑な時代を乗り切るための一つの解になると思います。投資信託やETF(上場投資信託)を使えば、個人投資家も簡単にコモディティに投資できますからね。

――債券に投資する際、何か気をつけるべきポイントはありますか。

露口氏:債券投資において鉄則と言われているのは、「満期まで持ち切る」ということです。一般的に、金利が上がると、すでに市場に出回っている債券の価格は下がります。もし、金利上昇局面の途中で現金が必要になり債券を売却しようとすると、購入時よりも価格が下がっていれば損失を被るリスクがあるのです。

したがって、債券を購入する場合は、途中で解約しなくても済む「直近使う予定のない余裕資金」で買うことがとても重要な条件です。個人向け国債であれば中途換金時の元本割れリスクは低い仕組みになっていますが、それでも一定期間は資金が拘束されます。投資は自身のライフプランと資金の性質を見極めた上で行うことが、より一層重要になりますね。

早めに削ぎ落とすべき家計の“ぜい肉”

――ここまでは資産を「増やす」お話を伺いましたが、逆に気をつけるべき「リスク管理」について教えてください。収入も多く、資産形成が進んでいるデジタル富裕層が陥りやすい罠はありますか。

露口氏:金利のある世界で最も怖いのは、「借金のコスト」が上がることです。資産運用ばかりに目が向きがちですが、負債のコントロールを見誤ると、せっかく増やした資産が一気に吹き飛んでしまう可能性があります。

特に注意したいのが、変動金利で借りているローンです。身近なところでは「カードローン」が挙げられます。ただでさえ金利が高いカードローンですが、世の中の金利が上がればその負担はさらに重くのしかかってきます。安易な借り入れは厳に慎むべきです。

また、収入のある会社員の方に多いのが「不動産投資ローン」です。節税対策や不労所得を目的にワンルームマンション投資などを始めている方もいるかもしれませんが、これも変動金利で借り入れている場合、金利上昇によって毎月の返済額が跳ね上がり、キャッシュフローが簡単にマイナスに転落するリスクをはらんでいます。

――多くの方が利用している「住宅ローン」についてはいかがでしょうか。

露口氏:住宅ローンは他のローンに比べて金利が低く抑えられていますが、それでも油断は禁物です。最近は不動産価格の高騰を受けて、50年といった「超長期ローン」を組むケースも増えていると聞きます。これは将来にわたって巨大な負債を抱え続けることになりますし、金利変動リスクに長期間さらされることになります。

もしこれから家を買うのであれば、「リセールバリュー(再販価値)」を見極めることが重要です。「将来、自分が買った時以上の値段、あるいはローン残高以上の値段で売れる物件か?」という視点です。具体的には、都心部へのアクセスが良い、駅から近いといった「立地」の良さがこれまで以上に重要になってきます。

――日々の生活費のやり繰りという観点から、取り組むべき防衛術はありますか。

露口氏:金利が上がり、物価も上がる時代には、家計簿の「固定費」を見直すことですね。家計に付いた不要な“ぜい肉”は早めに削ぎ落とさなければなりません。

まずは、スマートフォンなどの通信費。最新のデジタルデバイスを使っている方なら、大手キャリアの高いプランから「格安SIM(MVNO)」への乗り換えは比較的容易にできるはずです。これだけで月に数千円、年間で数万円の削減になります。

そして、盲点になりやすいのが「サブスクリプション(定額課金)サービス」です。NetflixやU-NEXTなどの動画配信サービス、音楽配信、あるいはフィットネスジムの会費など、契約したものの月に1〜2回しか使っていない、あるいは全く使っていないものはありませんか? デジタルツールを使いこなす方ほど、複数のサブスクを重複して契約している傾向があります。明細をチェックし、使っていないサービスは容赦なく解約する。この「ぜい肉を落とす作業」を定期的に行うことが、手元に残る資金を増やし、投資に回す体力をつける第一歩になります。

「長期・積立・分散」は筋トレも同じ!

――「ぜい肉を落とす」というお話が出ましたが、露口さんといえば日々ストイックに体を鍛えられていることでも知られています。資産運用と筋トレには、何か共通点があるのでしょうか。

露口氏:大いにありますよ(笑)。資産運用で成功するための基本は「長期・積立(コツコツ)・分散」ですよね。一朝一夕で資産が倍になる魔法はありません。時間をかけて、少しずつ積み上げていく複利の効果が結果を生みます。

筋トレも全く同じです。1日ハードなトレーニングをしたからといって、翌日急にマッチョになるわけではありません。コツコツと継続することでしか筋肉は育ちません。また、特定の部位ばかり鍛えるのではなく、胸、背中、足と「分散」してバランス良く鍛えることで、機能的で美しい体が作られます。まさにポートフォリオの分散と同じ考え方です。

――とはいえ、忙しい皆さんは「ジムに通う時間がない」という方も多いと思います。夏に向けて、自宅で短時間で効果を出せる筋トレがあれば教えてください。

露口氏:ジムに行く時間がないという声はよく聞きますし、私自身も日々忙しくしているので非常によくわかります。だからこそ簡単で、そして続けやすい2種目をおすすめします。「腕立て伏せ」と「スクワット」です。

――その2つだけで良いのですか?

露口氏:はい。この2種目は、全身の大きな筋肉を効率よく動かせる最強のトレーニングです。ただし、やり方にコツがあります。一番重要なのは「回数」ではなく「深さ(フォーム)」です。

まず「腕立て伏せ」ですが、これは胸の筋肉を鍛えるベンチプレスの代わりになります。胸が床に触れるギリギリのところまで「深く」曲げて、ゆっくりと押し上げる。もっと負荷をかけたい場合は、椅子に足を乗せてやるという方法もあります。

そして「スクワット」は下半身の強化です。足を肩幅程度に広げ、お尻を後ろに引くようにして、太ももが床と平行になるよりもさらに「深く」しゃがみ込みます。浅いスクワットは順天堂大学の谷本道哉先生が「浅はかなスクワット」とおっしゃっていたのですが、あまり効果がないんです。深く、正しいフォームで20回程度を目標にしてみてください。

この2種目を、隙間時間を見つけて正しいフォームで行う習慣をつけるだけで、体は見違えるように引き締まってきます。投資も筋トレも、まずは「正しい基本」を反復することが成功への近道です。

腕立ても、スクワットも「深く」正しいフォームで!

この夏の「ボーナス」はどう活用すべきか? 答えはセミナーで!

私たちは今、数十年に一度と言える金融環境の大きな転換点に立っています。「これまでうまくいっていたから」という過去の成功体験にとらわれず、金利のある世界に合わせてポートフォリオを点検し、家計の“ぜい肉”を落として柔軟に対応していく姿勢が求められています。

「夏のボーナス」シーズンは、「まとまった資金」が手元に入る時期です。この大切な資金を、これまで通りいつものインデックスファンドに全額投入してよいのか。それとも、新しい環境を見据えて債券やコモディティへ分散させるべきなのか。あるいは、金利上昇リスクに備えて不要な借入金の繰上げ返済に充てるべきなのか――。

7月23日のオンラインセミナーでは、露口氏を講師にお招きし、今回伺った環境変化を踏まえた具体的な戦略について詳しく解説していただきます。市場動向を交え、「これからの資産のベストな配置」を深掘りする内容となっています。「金利のある世界」を生き抜く“マッスル資産運用”のヒントを得る貴重な機会となりますので、ぜひご参加ください!

【オンラインセミナー開催のお知らせ】
OliveコンサルティングとQUICK Money Worldは、2026年6月から2027年3月にかけて全10回の共同オンラインセミナーを開催します。第2回のテーマは「夏のボーナス」です。
まとまった資金を手にする「夏のボーナス」の季節。「お金と時間の投資術」を考えてみませんか?
日本経済新聞 マネーのまなび面の編集長である露口一郎氏を講師に迎え、日経CNBCなどに出演するフリーアナウンサーの改野由佳氏とお届けします。

開催日時:2026年7月23日(木)19時開始(20時終了予定)
開催方式:Zoomによるオンライン配信
費用:無料(申込が必要です)

セミナーの詳細、お申込みはこちら

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講師

露口一郎

日本経済新聞社

金融・市場ユニット マネーのまなび面 編集長。
日経編集局 証券部や日経マネー、日経QUICKニュース社などを経て、2020年からマネー報道グループで資産運用や保険などの個人のお金まわりの記事を編集。「家計もカラダも筋肉質に」をモットーに日経電子版やYouTubeの動画「マッスルマネー学園」に出演。日経CNBC解説委員を兼務。趣味は筋トレ、プロレス観戦。

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